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最高裁判所第一小法廷 昭和53年(オ)1200号 判決 1979年3月01日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人高橋修の上告理由について

原審の適法に確定した事実関係の下において、被上告人が訴外株式会社豊電業設備工業社に対して有する手形買戻請求権につき自己の有する物上担保権の行使によつてすべて弁済を受けることができる関係にあるにもかかわらず、この方法をとることなく、右買戻請求権をもつて本件預託金返還請求権と相殺することにより右債権の満足を得る方法を選んだとしても、それだけでこれが権利の濫用であるということはできず、これと趣旨を同じくする原審の判断は正当であり、原判決に所論の違法はない。論旨は、独自の見解に立つて原判決を論難するものであつて、採用することができない。

(裁判長裁判官 戸田 弘 裁判官 団藤重光 裁判官 藤崎萬里 裁判官 本山 亨 裁判官 中村治朗)

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